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【完全ガイド】減価償却の節税対策|4つの法的根拠と中小企業向け特例の活用

減価償却による節税を4つの法的根拠から整理。特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例の使い分けと運用負荷を解説します。

公開 2026-05-04
減価償却特別償却即時償却少額減価償却資産中小企業
目次41
  1. 結論:4つの法的根拠と中小企業向け特例の組み合わせで初年度負担を圧縮
  2. 減価償却の節税効果は4つの法律に根拠がある
  3. 減価償却の基本ルール(法人税法31条)
  4. 償却方法と耐用年数(法人税法施行令48条〜・耐用年数省令)
  5. 中小企業向け特別償却・税額控除(租税特別措置法42条の6・42条の12の4)
  6. 少額減価償却資産の特例(租税特別措置法67条の5)
  7. 4つの法的根拠の対応関係
  8. 効果額:特別償却・即時償却・少額減価償却の使い分けによる初年度損金算入
  9. モデルケース:設備投資1,000万円の機械装置取得時の比較試算
  10. なぜこの規模になるのか
  11. 少額減価償却資産の特例による積み上げ効果
  12. 効果額の前提と振れ幅
  13. 中小企業投資促進税制と経営強化税制の使い分け
  14. 中小企業投資促進税制(租税特別措置法42条の6)
  15. 中小企業経営強化税制(租税特別措置法42条の12の4)
  16. 特別償却と税額控除の選択判断
  17. 他制度との重複適用ルール
  18. 適用要件の整理表
  19. 少額減価償却資産の特例(30万円未満・年300万円まで)
  20. 特例の要件と上限
  21. 取得価額別の処理選択(10万円・20万円・30万円のしきい値)
  22. 償却資産税との関係
  23. 中小企業の備品取得実務
  24. よくある誤解と落とし穴
  25. 誤解1:「特別償却・即時償却を使えばトータルの納税額が減る」ではない
  26. 誤解2:「即時償却は経営力向上計画なしでも使える」ではない
  27. 誤解3:「少額減価償却資産の特例は、すべての中小企業で使える」ではない
  28. 落とし穴1:耐用年数の判定誤りによる否認リスク
  29. 落とし穴2:特別償却と圧縮記帳の重複適用ルール
  30. 落とし穴3:償却資産税の申告漏れ
  31. 落とし穴4:固定資産台帳の整備不足
  32. 運用負荷の2種類(資産管理・申告対応)
  33. 資産取得時の負荷(経営力向上計画認定・申請書類整備・固定資産台帳登録)
  34. 継続的な事務の負荷(毎期の償却計算・固定資産管理・税務申告)
  35. 業界の構造的課題と対応の方向性
  36. まとめ
  37. 自社の状況で具体的に検討したい方へ
  38. ① 削減事例集(無料・資料請求)
  39. ② オンライン説明会(事例集に載っていない事例も含めて)
  40. よくある質問(FAQ)
  41. 出典・参考

「設備投資をしたいけれど、減価償却で初年度の負担を軽くする方法はないのか…」――中小企業の経営者・経理担当者の方から、設備投資・備品購入の検討段階でよく聞かれる質問です。減価償却は耳にしたことはあるけれど、特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例といった制度の使い分けが整理しきれていない。しかし、本当に自社で活用できる仕組みなのか? そう感じている方が多いのではないでしょうか。

減価償却とは、固定資産(建物・機械装置・器具備品等)の取得価額を、耐用年数にわたって計画的に費用配分する会計・税務上の処理を指します。法人税法31条と施行令48条以下を基本枠組みとして、租税特別措置法に中小企業向けの上乗せ制度(特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例)が複数用意されており、これらを組み合わせて活用することで設備投資の初年度負担を圧縮できる構造になっています。

減価償却の節税は4つの法律・制度に明確な根拠を持つ会社向けの制度群です。一方で「課税の繰延べに過ぎず免除ではない」「特別償却と税額控除の選択がある」「償却資産税の課税は別建てで残る」といった通常運用上の論点があり、効果が十分に発揮されないケースが多く見られます。価値判定は資金繰り改善効果と運用負荷を秤にかける領域です。


結論:4つの法的根拠と中小企業向け特例の組み合わせで初年度負担を圧縮

減価償却の節税効果は4法(法人税法31条/法人税法施行令48条〜・耐用年数省令/租税特別措置法42条の6・42条の12の4/租税特別措置法67条の5)に分散する根拠を持ち、通常の減価償却と中小企業向け特例(特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例)を組み合わせることで、設備投資の初年度損金算入額を大幅に前倒しできる構造です。年間300万円までの30万円未満一括償却(少額減価償却資産の特例)に加え、機械装置取得時の30%特別償却または7%税額控除(中小企業投資促進税制)、経営力向上計画の認定を受けた場合の即時償却または10%税額控除(中小企業経営強化税制)といった上乗せ制度が並走しており、設備投資計画と組み合わせれば数百万〜数千万円規模の初年度損金算入余地が現実的に得られます。一方で「特別償却は課税の繰延べであり免除ではない」「特別償却と税額控除の選択判断」「償却資産税の課税負担」「経営力向上計画の認定要件」といった運用上の論点があり、要件・選択肢・他制度との重複適用ルールを制度ごとに整理しないと効果額のフルポテンシャルが発揮されない構造です。

では、その「4つの法的根拠」とは具体的に何なのか。次の章から順に整理します。


減価償却の節税効果は4つの法律に根拠がある

結論から言うと、減価償却の節税効果は4つの法律にバラバラに分散して根拠を持つ、極めて筋の通った制度群です。 場当たり的な節税策ではなく、法人税法・法人税法施行令・租税特別措置法42条系(特別償却・税額控除)・租税特別措置法67条の5(少額減価償却資産の特例)の4方向に条文上の裏付けを持ちます。

要点は4つです。

  1. 法人税法31条が減価償却資産の償却費の計算と損金算入の基本ルールを定めている
  2. 法人税法施行令48条以下と耐用年数省令が、定額法・定率法等の償却方法と耐用年数を具体的に定めている
  3. 租税特別措置法42条の6・42条の12の4が、中小企業向けの特別償却・即時償却・税額控除を上乗せで認めている
  4. 租税特別措置法67条の5が、30万円未満の少額減価償却資産について年間300万円までの一括損金算入を認めている

条文番号や制度名にあまり馴染みがない方は、各小見出しの冒頭1〜2文だけ読み流していただいても要点は掴めます。

減価償却の基本ルール(法人税法31条)

法人税法31条は、減価償却資産の償却費の計算と損金算入について次のように規定しています。

内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の損金の額に算入すべき金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、(中略)政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額とする。

上記の条文を要約すると、減価償却費は、損金経理をした金額のうち政令で定める計算方法による金額(償却限度額)までを損金に算入できる構造です。償却限度額の具体的な計算方法は法人税法施行令48条以下と耐用年数省令に委ねられており、定額法・定率法等の償却方法と、資産の種類ごとの耐用年数で限度額が決まる仕組みとなります。なお、減価償却そのものは課税の免除ではなく、取得価額を耐用年数にわたって費用配分する仕組みのため、長期的な償却総額は取得価額に等しい点に注意が必要です。節税効果の本質は「初年度の損金算入額を前倒しすることによる課税の繰延べ」であり、繰延べによる資金繰り改善が中心となる構造です。

償却方法と耐用年数(法人税法施行令48条〜・耐用年数省令)

法人税法施行令48条〜63条は、減価償却資産の償却方法を定額法・定率法・生産高比例法等として規定しています。建物(平成10年4月1日以後取得分)・建物附属設備・構築物(平成28年4月1日以後取得分)は定額法、機械装置・器具備品・車両運搬具等は定額法または定率法の選択(法人の場合、法定償却方法は定率法)が基本ルールです。

各資産の耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に種類・構造・用途別の区分で詳細に規定されており、例えば事務用パソコンは4年、軽自動車は4年、鉄筋コンクリート造の事務所用建物は50年等、資産ごとに法定耐用年数が定められる構造です。耐用年数を短く設定して償却費を増やすことはできず、税務調査時には法定耐用年数の適用可否が論点となるため、固定資産台帳の整備段階で資産分類を正確に行う整理が運用上の前提となります。

中小企業向け特別償却・税額控除(租税特別措置法42条の6・42条の12の4)

租税特別措置法42条の6(中小企業投資促進税制)は、中小企業者等が一定の機械装置等を取得して指定事業の用に供した場合に、取得価額の30%相当額の特別償却または7%相当額の税額控除(資本金3,000万円以下の特定中小企業者等に限る)を認める制度です。対象資産は機械装置(1台160万円以上)・測定工具器具備品・ソフトウェア(一定額以上)・貨物自動車・内航船舶等で、経営力向上計画の認定は不要のため、要件を満たせば申告調整で適用可能な設計です。

租税特別措置法42条の12の4(中小企業経営強化税制)は、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等が、特定経営力向上設備等を取得して指定事業の用に供した場合に、即時償却または10%相当額の税額控除(資本金3,000万円超の中小企業者等は7%)を認める制度です。対象資産はA類型(生産性向上設備)・B類型(収益力強化設備)・C類型(デジタル化設備)・D類型(経営資源集約化設備)に区分され、各類型ごとに証明書・確認書の取得が求められる構造です。

但し、両制度の適用期限・対象資産区分・要件・上限額は税制改正で年度ごとに改定されるため、適用検討時は最新の租税特別措置法・国税庁公表資料・中小企業庁『中小企業税制』で要確認の整理が前提となります。

少額減価償却資産の特例(租税特別措置法67条の5)

租税特別措置法67条の5は、青色申告書を提出する中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合に、取得事業年度の損金算入を認める制度です。年間合計300万円までの上限が設定されており、上限を超える部分は通常の減価償却の対象となります。

法人税法施行令133条(取得価額10万円未満の少額資産)・施行令133条の2(取得価額20万円未満の一括償却資産・3年均等償却)と組み合わせることで、取得価額に応じた処理選択が可能な構造です。10万円未満は全額損金、10万円以上20万円未満は一括償却資産(償却資産税の対象外)または30万円未満特例、20万円以上30万円未満は30万円未満特例の対象として整理する設計が一般的です。

但し、租税特別措置法67条の5は適用期限が設けられている時限措置で、税制改正で延長・要件改定が繰り返されているため、適用検討時は最新の租税特別措置法で要確認の整理が前提となります。

4つの法的根拠の対応関係

法的根拠仕組み効果が及ぶ対象
法人税法31条減価償却費の損金算入の基本ルール会社(償却限度額までを損金算入)
法人税法施行令48条〜・耐用年数省令償却方法(定額法・定率法等)と耐用年数の規定会社(資産ごとの償却スケジュール)
租税特別措置法42条の6・42条の12の4特別償却・即時償却・税額控除の上乗せ会社(初年度損金算入の前倒し・税額直接減)
租税特別措置法67条の530万円未満一括償却(年300万円まで)会社(少額資産の即時損金算入)

減価償却の節税効果は条文に裏付けられた制度群として整理できます。では実際に自社で組み合わせるとどれくらいの効果が見込めるのか。ここからは効果額の規模感に踏み込みます。


効果額:特別償却・即時償却・少額減価償却の使い分けによる初年度損金算入

減価償却の節税は、設備投資規模・対象資産・適用制度の組み合わせ次第で初年度の損金算入額を大幅に前倒しでき、年度ごとに数百万〜数千万円規模の課税繰延べ余地が現実的にあります。 まずは規模感を掴んでください(個別の適用要件・上限額は税制改正で年度ごとに改定されるため、本記事の数値はあくまで業界実態として観察される水準であり、適用時は最新の租税特別措置法で要確認)。

モデルケース:設備投資1,000万円の機械装置取得時の比較試算

以下の前提で試算した場合、適用制度ごとに初年度損金算入額が大きく変動します。

項目
取得資産機械装置(1台1,000万円・指定事業の用に供する)
法定耐用年数10年
償却方法定率法(償却率0.200と仮定)
事業者区分中小企業者等(資本金3,000万円以下)
経営力向上計画認定取得済(経営強化税制適用ケースで使用)

試算前提:中小企業者等区分・取得価額1,000万円の機械装置・指定事業要件充足の標準的な条件での試算。中小企業投資促進税制および中小企業経営強化税制の適用要件は最新の租税特別措置法・中小企業庁公表資料で要確認。実際の損金算入額・税額控除額は対象資産区分・適用要件・他制度との重複適用ルールで個別変動します。

このとき、適用制度別の初年度損金算入額の目安は次のようになります。

適用制度初年度損金算入額税額控除主な特徴
通常償却(定率法)約200万円なし法定耐用年数で均等繰延(10年)
中小企業投資促進税制(特別償却)約500万円(通常200万円+特別償却300万円)なし取得価額の30%を上乗せ償却
中小企業投資促進税制(税額控除選択)約200万円70万円(取得価額×7%)法人税額そのものから直接控除
中小企業経営強化税制(即時償却)1,000万円(全額初年度損金)なし経営力向上計画の認定が要件
中小企業経営強化税制(税額控除選択)約200万円100万円(取得価額×10%)経営力向上計画の認定が要件

機械装置1台でこの規模です。 即時償却を選択すれば1,000万円が初年度全額損金として計上され、法人実効税率を仮に30%とすれば約300万円の課税繰延べ効果が初年度に発生する構造です。一方、税額控除を選択すれば法人税額そのものから直接控除される設計のため、課税の繰延べではなく実質的な税負担減少を伴うメリットがあります。

なぜこの規模になるのか

特別償却・即時償却の節税効果は「課税の繰延べ」であり、長期的な償却総額は通常償却と同額となります。但し、初年度に大きな損金を計上することで法人税の納付タイミングを後ろにずらせるため、その間の運転資金・設備投資資金として運用できる経済的便益が発生する構造です。設備投資直後で資金繰りがタイトな時期に、納税負担を軽減できる点が中小企業にとっての実務的なメリットとなります。

税額控除(投資促進税制7%・経営強化税制10%等)は、法人税額そのものから直接控除される制度のため、こちらは実質的な税負担減少を伴います。例えば1,000万円の機械装置に経営強化税制の10%税額控除を適用すれば、100万円の法人税額が直接減少する設計です。但し、税額控除には「当期の法人税額の20%相当額が上限」「控除しきれない金額の翌期繰越」等の運用ルールがあるため、当期の法人税額・将来の利益見通しによって実効的な効果額は変動する構造です。

少額減価償却資産の特例による積み上げ効果

租税特別措置法67条の5の少額減価償却資産の特例(30万円未満・年300万円まで)は、機械装置等の大型設備投資とは別建てで、備品・パソコン・OA機器等の少額資産取得時に活用可能な制度です。例えば事務所のパソコン10台(1台25万円)を期末に取得した場合、通常償却では4年(パソコンの法定耐用年数)にわたって繰延べる必要がありますが、本特例を適用すれば10台×25万円=250万円を取得事業年度に全額損金算入できる設計です。

中小企業の備品取得は事業年度内に分散して発生する性質のため、年間300万円の上限を活用しきる事業者は多くなく、上限の取り逃しが発生しているケースも業界実態として観察されます。期末の備品取得計画を整理することで、少額減価償却資産の特例による損金算入余地を取りこぼさない設計が、中小企業の運用上の論点となります。

効果額の前提と振れ幅

上記モデルケースは「中小企業者等・機械装置1,000万円・指定事業要件充足・経営力向上計画認定済」の標準的な条件での試算です。事業者区分(中小企業者等の判定)・対象資産区分・取得価額の要件充足状況・指定事業の判定・経営力向上計画の認定取得有無・他制度との重複適用ルールによって、適用可否と効果額は大きく変動します。

レンジの下限ケースとしては、取得価額が要件未満の機械装置取得(例:1台160万円未満)の場合は中小企業投資促進税制の対象外となるため、通常償却のみの適用となります。一方、上限ケースとしては経営力向上計画の認定取得+A類型〜D類型の証明書取得+複数台の機械装置取得を組み合わせれば、年度ごとに数千万円規模の即時償却が実現するケースもあります。なお、中小企業向け特例は適用期限が設けられた時限措置で、税制改正で要件・上限額・対象資産が年度ごとに改定されるため、適用検討時は中小企業庁『中小企業税制』および国税庁公表資料で最新版を確認する整理が前提となります。

規模感が掴めたところで、次に多くの経営者・経理担当者の方が突き当たるのが「では、自社の設備投資にはどの制度が使えるのか、特別償却と税額控除のどちらを選ぶべきか」という問いです。次に中小企業投資促進税制と経営強化税制の使い分けを整理します。


中小企業投資促進税制と経営強化税制の使い分け

中小企業向けの特別償却・税額控除制度は、要件と効果額の異なる複数制度が並走しており、対象資産・経営力向上計画の有無・自社のキャッシュフロー状況に応じて使い分ける整理が前提となります。 ここからは少し細かい話になりますが、「自社で使えるのはどれか」を判断するうえで核となる章です。

中小企業投資促進税制(租税特別措置法42条の6)

中小企業投資促進税制は、青色申告書を提出する中小企業者等(資本金1億円以下の法人等)が、機械装置(1台160万円以上)・測定工具器具備品(1台120万円以上等)・ソフトウェア(70万円以上)・貨物自動車(車両総重量3.5t以上)・内航船舶等を取得して指定事業の用に供した場合に適用される制度です。指定事業は製造業・建設業・卸売業・小売業・サービス業等の幅広い業種が対象として整理されています。

効果は、取得価額の30%相当額の特別償却(通常償却に上乗せ)または7%相当額の税額控除(資本金3,000万円以下の特定中小企業者等に限る)の選択適用です。経営力向上計画の認定は不要のため、要件を満たせば申告調整で適用可能な設計が、運用上のアクセスしやすさにつながります。

但し、対象業種・対象資産の細目・取得価額要件は租税特別措置法施行令で詳細に規定されており、自社の業種・取得予定資産が要件を満たすかは個別判定が必要です。適用検討時は最新の租税特別措置法・施行令・国税庁公表資料で要確認の整理が前提となります。

中小企業経営強化税制(租税特別措置法42条の12の4)

中小企業経営強化税制は、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等が、特定経営力向上設備等を取得して指定事業の用に供した場合に適用される制度です。投資促進税制と比較して効果は大きく、即時償却(取得価額の100%を初年度損金算入)または10%相当額の税額控除(資本金3,000万円超の中小企業者等は7%)の選択適用となります。

特定経営力向上設備等は4類型に区分されています。A類型(生産性向上設備)は、販売開始から一定期間内・旧モデル比1%以上の生産性向上を満たす設備で工業会等の証明書が必要です。B類型(収益力強化設備)は、年平均5%以上の投資利益率の達成が見込まれる設備で経済産業局の確認書が必要です。C類型(デジタル化設備)は、遠隔操作・可視化・自動制御化のいずれかを目的とする設備で経済産業局の確認書が必要です。D類型(経営資源集約化設備)は、修正ROAまたは有形固定資産回転率の一定向上を満たす設備で経済産業局の確認書が必要です。

経営力向上計画の認定取得には、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)と連携した計画書の作成・主務大臣への申請・認定取得というプロセスが必要となります。設備取得の前または取得日から60日以内(特例的取扱いあり)の認定申請が運用上の前提のため、事業計画段階からのスケジュール管理が要件充足の鍵となる構造です。

特別償却と税額控除の選択判断

両制度とも特別償却(または即時償却)と税額控除の選択適用が認められており、自社のキャッシュフロー状況・将来の利益見通しで個別判断する整理が一般的です。

特別償却・即時償却は、初年度の損金算入額を前倒しすることで法人税の納付タイミングを後ろにずらせる設計のため、設備投資直後の資金繰りが厳しい時期や、将来の利益が増加見込みで法人税負担が重くなる見通しの場合に有効な選択肢となります。但し、長期的な償却総額は通常償却と同額のため、実質的な税負担減少を伴わない点が特徴です。

税額控除は、法人税額そのものから直接控除される制度のため、実質的な税負担減少を伴います。但し、当期の法人税額の20%相当額が上限となるため、当期の法人税額が小さい場合は控除しきれず、翌期以降への繰越(経営強化税制では翌期繰越1年)で対応する構造です。当期の法人税額が十分に大きく・将来の利益が安定している事業者にとっては、税額控除のほうが実効的な節税効果が得られるケースが多くなります。

他制度との重複適用ルール

中小企業向け特別償却・税額控除制度は、複数制度の同一資産への重複適用には制限が設けられています。例えば、中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制は同一の機械装置に対して重複適用できず、いずれか一方の選択となる構造です。また、即時償却を選択した場合、減価償却資産としての償却済み残高が0となるため、その後の事業年度における追加的な償却費の計上はできません。

加えて、補助金(事業再構築補助金・ものづくり補助金等)で取得した固定資産については、補助金部分の圧縮記帳と特別償却の重複適用に関する個別ルールがあるため、設備投資計画段階で税理士・認定支援機関と連携した整理が運用上の前提となります(具体的な重複適用ルールは最新の租税特別措置法・国税庁公表資料で要確認)。

適用要件の整理表

制度認定計画の要否対象資産効果(特別償却)効果(税額控除)
中小企業投資促進税制不要機械装置160万円〜・ソフト70万円〜等取得価額の30%特別償却7%(特定中小企業者等のみ)
中小企業経営強化税制経営力向上計画の認定が必要A〜D類型の特定経営力向上設備等即時償却(100%)10%(資本金3,000万円超は7%)

少額減価償却資産の特例(30万円未満・年300万円まで)

租税特別措置法67条の5の少額減価償却資産の特例は、中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、年間300万円までを取得事業年度の損金に算入できる制度です。 機械装置等の大型設備投資とは別建てで、備品・パソコン・OA機器・什器等の少額資産取得時に活用可能な制度として、中小企業の経理実務に幅広く浸透しています。

特例の要件と上限

適用対象は青色申告書を提出する中小企業者等(資本金1億円以下の法人等で、常時使用する従業員数500人以下等の要件充足)で、適用期限が設けられた時限措置です。対象資産は取得価額30万円未満の減価償却資産で、業務用ソフトウェア・建物附属設備・構築物等も対象に含まれます(リース資産・貸付の用に供する資産は対象外)。

年間合計300万円の上限が設定されているため、複数の少額資産を取得する場合は、事業年度内の取得タイミングと取得価額の合計を意識する整理が運用上の前提となります。例えば、期末に駆け込みで備品20点(1点20万円・合計400万円)を取得した場合、特例の対象は300万円分までで、残り100万円分は通常の減価償却の対象として処理する構造です。

取得価額別の処理選択(10万円・20万円・30万円のしきい値)

少額減価償却資産については、取得価額帯ごとに処理方法の選択肢が異なります。

取得価額10万円未満の場合は、法人税法施行令133条により全額損金算入(少額の減価償却資産)として処理する選択肢があります。事務消耗品費等として処理することが一般的で、固定資産台帳への登録も不要となる構造です。

取得価額10万円以上20万円未満の場合は、施行令133条の2の一括償却資産(3年均等償却)として処理する選択肢と、租税特別措置法67条の5の30万円未満特例として処理する選択肢があります。一括償却資産は償却資産税の課税対象外となる一方、3年にわたって損金が分散する設計のため、当期の課税負担軽減を優先する場合は30万円未満特例(当期全額損金)を選択する整理が一般的です。

取得価額20万円以上30万円未満の場合は、租税特別措置法67条の5の30万円未満特例の対象となります。20万円未満のような一括償却資産(償却資産税対象外)の選択肢はないため、特例適用時も償却資産税の課税対象として残る点に注意が必要です。

償却資産税との関係

少額減価償却資産の特例で全額損金算入した資産であっても、地方税法341条以下の償却資産税(固定資産税の一区分)の課税対象からは原則除外されません。具体的には、取得価額10万円未満で一時の損金とした資産・20万円未満の一括償却資産は償却資産税の対象外ですが、租税特別措置法67条の5の30万円未満特例で損金算入した20万円以上の資産は償却資産税の課税対象として残る構造です。

償却資産税は毎年1月1日時点の所有資産に対して課税され、課税標準額の合計が150万円以上の場合に1.4%(標準税率)の税率で課税されます。法人税の即時損金と償却資産税の課税が分かれる構造のため、設備投資計画段階で両税の負担を併せて見立てる整理が運用上の前提となります(具体的な税率・免税点・申告手続は市区町村条例で要確認)。

中小企業の備品取得実務

中小企業の備品取得は事業年度内に分散して発生する性質のため、年間300万円の上限を活用しきる事業者は多くなく、上限の取り逃しが発生しているケースも業界実態として観察されます。期末に近い時期に備品取得計画を整理し、特例の上限に収まる範囲で取得を集中させる進め方が、損金算入余地を取りこぼさない運用上の論点となります。

但し、租税特別措置法67条の5は適用期限が設けられた時限措置で、税制改正で延長・要件改定が繰り返されているため、適用検討時は最新の租税特別措置法および中小企業庁公表資料で要確認の整理が前提となります。


よくある誤解と落とし穴

減価償却の節税制度は、それぞれの制度に固有の制約や注意点があります。 4つの主要制度(通常償却・特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例)を組み合わせて活用する際は、誤解と落とし穴を事前に整理しておくことが、節税効果を取りこぼさず・税務調査リスクを高めないための前提となります。

誤解1:「特別償却・即時償却を使えばトータルの納税額が減る」ではない

特別償却・即時償却は、取得価額のうち初年度に前倒しで損金計上できる部分が増える設計のため、長期的な償却総額は通常償却と同額となります。トータルでの損金算入額そのものは変わらず、節税効果は「課税の繰延べ」による資金繰り改善に限定される構造です。

実質的な税負担減少を伴うのは税額控除(投資促進税制7%・経営強化税制10%等)の選択適用であり、税額控除は法人税額そのものから直接控除される制度のため、特別償却とは効果の性質が異なります。「特別償却=節税」という単純化された理解では、自社のキャッシュフロー状況・将来の利益見通しに応じた選択判断ができないため、特別償却(課税繰延べ)と税額控除(実質負担減)の効果の違いを区別したうえで選択する整理が運用上の前提となります。

誤解2:「即時償却は経営力向上計画なしでも使える」ではない

即時償却(取得価額の100%を初年度損金算入)は、租税特別措置法42条の12の4の中小企業経営強化税制で適用される制度であり、前提として中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定取得が要件です。経営力向上計画の認定なしには即時償却は適用できず、中小企業投資促進税制(経営力向上計画不要)の特別償却は最大30%までに留まる構造です。

経営力向上計画の認定取得には、認定支援機関と連携した計画書の作成・主務大臣への申請・認定取得というプロセスが必要となり、設備取得の前または取得日から60日以内(特例的取扱いあり)の認定申請が運用上の前提です。設備投資計画段階で経営力向上計画の認定取得スケジュールを管理しないと、即時償却の要件を満たせなくなる構造のため、事業計画と税務計画を統合的に管理する整理が前提となります。

誤解3:「少額減価償却資産の特例は、すべての中小企業で使える」ではない

租税特別措置法67条の5の少額減価償却資産の特例は、適用対象が「青色申告書を提出する中小企業者等」に限定されており、白色申告法人は対象外です。加えて、「中小企業者等」の判定には、資本金1億円以下の要件に加え、常時使用する従業員数500人以下等の要件があり、大規模法人の子会社等で「中小企業者等」の定義から外れる事業者は対象外となります。

加えて、租税特別措置法67条の5は適用期限が設けられた時限措置のため、適用期限満了時には特例自体が利用できなくなる可能性があります。税制改正で延長・要件改定が繰り返されてきた経緯はありますが、将来の改定見通しは確定していないため、適用検討時は最新の租税特別措置法で要確認の整理が運用上の前提となります。

落とし穴1:耐用年数の判定誤りによる否認リスク

減価償却資産の耐用年数は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に種類・構造・用途別の区分で詳細に規定されており、誤った耐用年数を適用すると税務調査で否認される構造です。例えば、業務用車両を「軽自動車(4年)」として処理していたが実際は「普通自動車(6年)」だった場合、過大な償却費が否認されて修正申告と過少申告加算税の対象となるケースがあります。

固定資産台帳の整備段階で資産分類を正確に行い、耐用年数を法定耐用年数に基づいて設定する進め方が、税務調査リスクを抑える運用上の前提となります。耐用年数の判定で疑義がある場合は、国税庁の公表事例・税理士との相談で個別判断する整理が一般的です。

落とし穴2:特別償却と圧縮記帳の重複適用ルール

補助金(事業再構築補助金・ものづくり補助金等)で取得した固定資産については、法人税法42〜44条の圧縮記帳と租税特別措置法42条系の特別償却の重複適用に関する個別ルールがあります。原則として、圧縮記帳後の取得価額を基準に特別償却・税額控除の対象金額が算定される構造のため、圧縮記帳の選択により特別償却・税額控除の効果額が縮小するケースがあります。

補助金を活用した設備投資計画では、圧縮記帳と特別償却・税額控除の重複適用ルールを事前に整理する必要があり、設備投資計画段階で税理士・認定支援機関と連携した整理が運用上の前提となります。具体的な重複適用ルールは個別事案ごとに判断が分かれるケースもあるため、最新の租税特別措置法・国税庁公表資料・通達で要確認の整理が一般的です。

落とし穴3:償却資産税の申告漏れ

事業用の機械装置・器具備品・建物附属設備等の減価償却資産は、地方税法341条以下の償却資産税(固定資産税の一区分)の課税対象となる構造で、毎年1月1日時点の所有資産について市区町村への申告が必要です。法人税の減価償却とは別の地方税として運用されており、申告漏れがあると過少申告加算税・延滞金の対象となります。

償却資産税の課税標準額(評価額)の合計が150万円以上の場合に1.4%(標準税率)の税率で課税される設計のため、複数の機械装置・備品を保有する事業者では実効的な税負担となります。少額減価償却資産の特例で全額損金算入した20万円以上30万円未満の資産は償却資産税の課税対象として残るため、法人税の節税と償却資産税の課税負担を併せて見立てる整理が運用上の前提となります(具体的な税率・免税点・申告手続は市区町村条例で要確認)。

落とし穴4:固定資産台帳の整備不足

減価償却の節税効果を享受するには、固定資産台帳の整備(取得日・取得価額・耐用年数・償却方法・期末簿価等の記録)が前提となります。固定資産台帳の整備不足があると、税務調査時の説明可能性が損なわれるほか、特別償却・税額控除の適用要件確認・償却資産税の申告にも支障が生じる構造です。

加えて、固定資産の除却・売却時の処理(除却損の計上・譲渡損益の認識・償却資産税の申告反映)も固定資産台帳の整備が前提となるため、設備投資のライフサイクル全体を通じた資産管理体制の整備が運用上の前提となります。中小企業では経理担当者が他業務と兼務するケースが多く、固定資産台帳の整備が後回しになりがちな実態がありますが、減価償却の節税効果を取りこぼさないための基盤として位置付ける整理が一般的です。


運用負荷の2種類(資産管理・申告対応)

減価償却の節税には、資産取得時に1回発生する固定負荷と、毎期継続的に発生する事務負荷の2種類があります。 節税効果と同じ秤に乗せて評価することが価値判定の前提となります。

資産取得時の負荷(経営力向上計画認定・申請書類整備・固定資産台帳登録)

資産取得時の負荷は3種類です。経営力向上計画の認定取得(中小企業経営強化税制を適用する場合に、認定支援機関と連携した計画書作成・主務大臣への申請・認定取得)、特別償却・税額控除の適用要件確認(対象資産区分・取得価額要件・指定事業の判定)、固定資産台帳への登録(取得日・取得価額・耐用年数・償却方法・期末簿価等の記録整備)です。1回限りの固定負荷ではあるものの、書類整備の品質はその後の特別償却・税額控除の適用可否と税務調査時の説明可能性に直結するため、ここで手を抜くと節税効果のフルポテンシャルが発揮されない点が要注意となります。

経営力向上計画の認定取得は、設備取得の前または取得日から60日以内(特例的取扱いあり)の認定申請が運用上の前提のため、事業計画と税務計画を統合的に管理するスケジュール設計が求められる構造です。認定支援機関への報酬体系は機関ごとに異なるため、依頼時は個別見積を確認する整理が必要です。

継続的な事務の負荷(毎期の償却計算・固定資産管理・税務申告)

資産取得後は毎期の減価償却費の計算(定額法・定率法等の償却方法に基づく償却限度額の算定)と、固定資産台帳の管理(資産の異動・除却・売却の反映)が継続発生します。これに加え、法人税申告書での減価償却関連別表(別表16(1)〜(6)等)の作成、償却資産税の申告(毎年1月1日時点の所有資産について市区町村への申告)、税務調査時の対応(固定資産台帳・特別償却の適用要件証憑の説明と提示)が随時発生する構造です。

複数の制度を組み合わせて活用する場合(例:通常償却+特別償却+少額減価償却資産の特例)は、各制度の適用要件・効果額・他制度との重複適用ルールを毎期確認する必要があるため、経理担当者の継続的な工数負担となります。事務処理を社内のリソースで回すか、外部の税理士・認定支援機関と連携するかで負荷の所在は変わりますが、いずれの場合も節税効果を享受するためのコストとして継続的に発生する性質のものです。

業界の構造的課題と対応の方向性

ここで「では、なぜ多くの中小企業が減価償却の節税効果を活用しきれていないのか?」と思われるかもしれません。業界の構造として、減価償却の節税を統合的に設計する体制を社内で構築しにくい事情があります。

第一に、減価償却の節税は設備投資計画と税務計画を統合的に設計する必要がある領域ですが、中小企業では設備投資の意思決定(経営判断)と税務処理(経理担当・税理士)が分離している組織が多く、税務上の有利選択が設備投資計画段階に組み込まれにくい構造があります。

第二に、顧問税理士の収入構造は月次顧問料・決算料が中心で、特別償却・税額控除の適用要件確認・経営力向上計画の認定支援は決算業務の範囲を超える領域として扱われるケースが多く、依頼側からの個別相談がないと提案が出てこない傾向があります。中小企業経営強化税制のような経営力向上計画の認定を伴う制度は、認定支援機関としての関与が必要となり、顧問契約の範囲外として扱われるケースもあります。

第三に、租税特別措置法42条系・67条の5は適用期限が設けられた時限措置で、税制改正で要件・対象資産・上限額が年度ごとに改定されるため、最新情報の継続的なキャッチアップが社内体制の負担となります。

これは顧問税理士・経理担当者個人の能力や姿勢の問題ではなく、業務分担と制度の改定頻度から生じる業界の構造的な傾向として理解する必要があります。減価償却の節税効果を最大化するには、設備投資計画段階からの早期相談か、税務最適化に踏み込んだ専門サービスの活用が現実的な選択肢になります。


まとめ

減価償却の節税は4つの法的根拠を持つ制度群であり、通常償却(定額法・定率法)と中小企業向け特例(特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例)を組み合わせて設備投資計画に当てはめれば、初年度の損金算入額を大幅に前倒しでき、資金繰り改善効果が現実的に得られます(実際の効果額は取得資産・要件充足度・選択方式で個別変動するため、最新税制改正で要確認)。一方で「特別償却は課税の繰延べであり免除ではない」「特別償却と税額控除の選択判断」「経営力向上計画の認定要件」「償却資産税の課税負担」といった通常運用上の論点があり、業界実態に即した整理(設備投資計画段階からの統合設計・適用要件と他制度との重複適用ルールの確認)には踏み込んだ知見が必要です。

減価償却の節税は、法人税法31条・法人税法施行令48条以下と耐用年数省令・租税特別措置法42条の6および42条の12の4・租税特別措置法67条の5の4方向にわたって裏付けを持つ制度群です。効果の規模は設備投資金額・対象資産区分・適用制度の組み合わせ・経営力向上計画の認定有無によって変動し、機械装置1,000万円の取得で初年度全額損金算入(即時償却)または取得価額の30%特別償却・10%税額控除といった選択肢が用意されています。一方で「特別償却は課税の繰延べに過ぎない」「税額控除との選択判断」「経営力向上計画の認定要件」「償却資産税の課税負担」「補助金との重複適用ルール」といった運用上の論点も並走するため、設備投資計画段階からの早期検討と、要件・選択肢・他制度との重複適用ルールを統合的に整理する設計が求められる構造です。自社で取り組むかどうかは、自社の設備投資計画・キャッシュフロー状況・経営力向上計画の認定取得余地から得られる効果額の見立てと、社内の経理体制・税理士・認定支援機関との連携方針を照らし合わせて判断するのが現実的です。


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よくある質問(FAQ)

Q1. 減価償却で節税になる仕組みを簡単に教えてください。

A. 減価償却は固定資産(建物・機械・備品等)の取得価額を耐用年数にわたって費用配分する会計・税務上の処理です。法人税法22条3項2号により償却費は損金算入の対象となるため、課税所得を圧縮する効果が発生します。一方、減価償却そのものは「課税の繰延べ」であり、最終的な償却総額は取得価額に等しいため、課税の免除ではない点に注意が必要です。中小企業向けには特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例が用意されており、通常の定額法・定率法と組み合わせて使うことで、初年度の損金算入額を前倒しできる構造です。

Q2. 中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の違いは何ですか?

A. 中小企業投資促進税制(租税特別措置法42条の6)は、機械装置等を取得した中小企業者等に対し、取得価額の30%特別償却または7%税額控除を認める制度です。経営力向上計画の認定は不要で、対象資産・取得価額の要件を満たせば適用可能な構造です。中小企業経営強化税制(租税特別措置法42条の12の4)は、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等に対し、即時償却または10%税額控除を認める制度で、A〜D類型の対象資産区分があり、適用要件は投資促進税制より厳格に設計されています。両制度の選択や上乗せの可否は適用要件・上限額で個別判断となるため、最新の租税特別措置法・国税庁公表資料で要確認です。

Q3. 30万円未満の少額減価償却資産は、すべて取得時に一括で経費にできますか?

A. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(租税特別措置法67条の5)により、取得価額30万円未満の減価償却資産は、年間合計300万円までを取得事業年度の損金に算入できる設計です。対象は青色申告書を提出する中小企業者等に限定され、取得価額10万円未満は通常の少額資産(法人税法施行令133条)として全額損金算入、10万円以上20万円未満は一括償却資産(同令133条の2、3年均等償却)として処理する選択肢もあります。年間300万円の上限を超える部分は通常の減価償却の対象となるため、複数の備品をまとめて取得する場合は事業年度内の取得タイミングを意識する整理が運用上の前提となります(適用期限・要件は最新税制改正で要確認)。

Q4. 特別償却を使うと、トータルでの納税額は減りますか?

A. 特別償却は減価償却費を初年度に前倒しで計上する仕組みのため、長期的な償却総額は通常償却と同額となり、トータルの損金算入額そのものは変わりません。節税効果は「課税の繰延べ」による資金繰り改善・運転資金確保が中心で、実質的な税負担減少は法人税の運用益(資金を投資に回せる効果)に限定される構造です。一方、税額控除(投資促進税制7%・経営強化税制10%等)は法人税額そのものから直接控除される制度のため、こちらは実質的な税負担減少を伴います。特別償却と税額控除の選択は、自社のキャッシュフロー状況・将来の利益見通し・税額控除の繰越制度の活用余地で個別判断する整理が一般的です(最新税制改正で要確認)。

Q5. 減価償却資産を取得した場合、固定資産税(償却資産税)はどう扱われますか?

A. 事業用の機械装置・器具備品等の減価償却資産は、地方税法341条以下の償却資産税(固定資産税の一区分)の課税対象となります。法人税の減価償却とは別の地方税として、毎年1月1日時点の所有資産に対して課税される構造で、課税標準額(評価額)の合計が150万円以上の場合に1.4%(標準税率)の税率で課税されます。法人税で即時償却・少額減価償却資産の特例を適用しても、償却資産税の課税対象からは原則除外されません(取得価額10万円未満で一時の損金とした資産・20万円未満の一括償却資産は対象外)。減価償却資産の取得計画段階で償却資産税の課税負担も併せて見立てる整理が運用上の前提となります(具体的な税率・免税点は市区町村条例で要確認)。

Q6. 顧問税理士に相談すれば、最適な減価償却の方法を提案してもらえますか?

A. 顧問税理士のビジネスモデル(月次顧問料・決算料中心)は税務・会計が業務の主軸で、減価償却の方法選定(定額法・定率法・特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例の使い分け)は決算業務の一環として関与する領域です。一方、中小企業経営強化税制のような経営力向上計画の認定を伴う制度は、認定経営革新等支援機関としての関与が必要となり、顧問契約の範囲外として扱われるケースもあります。減価償却の節税効果を最大化するには、固定資産取得の事業計画段階から税理士・認定支援機関と連携する整理が運用上の前提となり、決算直前の駆け込み相談では選択肢が限定される構造のため、設備投資計画の早期段階で相談する進め方が現実的です。


出典・参考

  1. 法人税法 第31条(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)/e-Gov 法令検索 (2026-05-03 確認)
  2. 法人税法施行令 第48条〜第63条(減価償却資産の償却の方法等)/e-Gov 法令検索 (2026-05-03 確認)
  3. 減価償却資産の耐用年数等に関する省令/e-Gov 法令検索 (2026-05-03 確認)
  4. 租税特別措置法 第42条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)/e-Gov 法令検索 (2026-05-03 確認)
  5. 租税特別措置法 第42条の12の4(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)/e-Gov 法令検索 (2026-05-03 確認)
  6. 租税特別措置法 第67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)/e-Gov 法令検索 (2026-05-03 確認)
  7. 法人税法施行令 第133条(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)/第133条の2(一括償却資産の損金算入)/e-Gov 法令検索 (2026-05-03 確認)
  8. 地方税法 第341条以下(固定資産税・償却資産)/e-Gov 法令検索 (2026-05-03 確認)
  9. 中小企業庁『中小企業税制(中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制)』 (2026-05-03 確認)

よくある質問

Q. 減価償却で節税になる仕組みを簡単に教えてください。
減価償却は固定資産(建物・機械・備品等)の取得価額を耐用年数にわたって費用配分する会計・税務上の処理です。法人税法22条3項2号により償却費は損金算入の対象となるため、課税所得を圧縮する効果が発生します。一方、減価償却そのものは「課税の繰延べ」であり、最終的な償却総額は取得価額に等しいため、課税の免除ではない点に注意が必要です。中小企業向けには特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例が用意されており、通常の定額法・定率法と組み合わせて使うことで、初年度の損金算入額を前倒しできる構造です。
Q. 中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の違いは何ですか?
中小企業投資促進税制(租税特別措置法42条の6)は、機械装置等を取得した中小企業者等に対し、取得価額の30%特別償却または7%税額控除を認める制度です。経営強化計画の認定は不要で、対象資産・取得価額の要件を満たせば適用可能な構造です。中小企業経営強化税制(租税特別措置法42条の12の4)は、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等に対し、即時償却または10%税額控除を認める制度で、A〜D類型の対象資産区分があり、適用要件は投資促進税制より厳格に設計されています。両制度の選択や上乗せの可否は適用要件・上限額で個別判断となるため、最新の租税特別措置法・国税庁公表資料で要確認です。
Q. 30万円未満の少額減価償却資産は、すべて取得時に一括で経費にできますか?
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(租税特別措置法67条の5)により、取得価額30万円未満の減価償却資産は、年間合計300万円までを取得事業年度の損金に算入できる設計です。対象は青色申告書を提出する中小企業者等に限定され、取得価額10万円未満は通常の少額資産(法人税法施行令133条)として全額損金算入、10万円以上20万円未満は一括償却資産(同令133条の2、3年均等償却)として処理する選択肢もあります。年間300万円の上限を超える部分は通常の減価償却の対象となるため、複数の備品をまとめて取得する場合は事業年度内の取得タイミングを意識する整理が運用上の前提となります(適用期限・要件は最新税制改正で要確認)。
Q. 特別償却を使うと、トータルでの納税額は減りますか?
特別償却は減価償却費を初年度に前倒しで計上する仕組みのため、長期的な償却総額は通常償却と同額となり、トータルの損金算入額そのものは変わりません。節税効果は「課税の繰延べ」による資金繰り改善・運転資金確保が中心で、実質的な税負担減少は法人税の運用益(資金を投資に回せる効果)に限定される構造です。一方、税額控除(投資促進税制7%・経営強化税制10%等)は法人税額そのものから直接控除される制度のため、こちらは実質的な税負担減少を伴います。特別償却と税額控除の選択は、自社のキャッシュフロー状況・将来の利益見通し・税額控除の繰越制度の活用余地で個別判断する整理が一般的です(最新税制改正で要確認)。
Q. 減価償却資産を取得した場合、固定資産税(償却資産税)はどう扱われますか?
事業用の機械装置・器具備品等の減価償却資産は、地方税法341条以下の償却資産税(固定資産税の一区分)の課税対象となります。法人税の減価償却とは別の地方税として、毎年1月1日時点の所有資産に対して課税される構造で、課税標準額(評価額)の合計が150万円以上の場合に1.4%(標準税率)の税率で課税されます。法人税で即時償却・少額減価償却資産の特例を適用しても、償却資産税の課税対象からは原則除外されません(取得価額10万円未満で一時の損金とした資産・20万円未満の一括償却資産は対象外)。減価償却資産の取得計画段階で償却資産税の課税負担も併せて見立てる整理が運用上の前提となります(具体的な税率・免税点は市区町村条例で要確認)。
Q. 顧問税理士に相談すれば、最適な減価償却の方法を提案してもらえますか?
顧問税理士のビジネスモデル(月次顧問料・決算料中心)は税務・会計が業務の主軸で、減価償却の方法選定(定額法・定率法・特別償却・即時償却・少額減価償却資産の特例の使い分け)は決算業務の一環として関与する領域です。一方、中小企業経営強化税制のような経営力向上計画の認定を伴う制度は、認定経営革新等支援機関としての関与が必要となり、顧問契約の範囲外として扱われるケースもあります。減価償却の節税効果を最大化するには、固定資産取得の事業計画段階から税理士・認定支援機関と連携する整理が運用上の前提となり、決算直前の駆け込み相談では選択肢が限定される構造のため、設備投資計画の早期段階で相談する進め方が現実的です。

出典・参考

  1. 法人税法 第31条(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)2026-05-03 確認)
  2. 法人税法施行令 第48条〜第63条(減価償却資産の償却の方法等)2026-05-03 確認)
  3. 減価償却資産の耐用年数等に関する省令2026-05-03 確認)
  4. 租税特別措置法 第42条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)2026-05-03 確認)
  5. 租税特別措置法 第42条の12の4(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)2026-05-03 確認)
  6. 租税特別措置法 第67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)2026-05-03 確認)
  7. 法人税法施行令 第133条(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)/第133条の2(一括償却資産の損金算入)2026-05-03 確認)
  8. 地方税法 第341条以下(固定資産税・償却資産)2026-05-03 確認)
  9. 中小企業庁『中小企業税制(中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制)』2026-05-03 確認)